サウジアラビアでGANMA!編集部がマンガ家向けに1日講座をしてきた
娯楽解禁された未知の地「サウジアラビア」
2019年11月14~16日にサウジアラビアの首都リヤドで開催された中東最大級の日本のアニメ・マンガイベント「サウジアニメエキスポ」に、GANMA!編集部が1日マンガ講座の講師として招かれ、授業を行ってきました。
サウジアラビアというとどんなイメージを持っていますか?真っ先に「石油」を思い浮かべたりするかもしれません。しかし本当は一体どんな国・文化なのか?ましてやアニメやマンガなどのサブカルチャーがどのくらい普及しているのか想像もつかない方が多いのではないでしょうか。
サウジアラビアでは、脱石油依存型経済を目指す国家長期戦略「ビジョン 2030」を掲げており、昨今エンターテイメント産業分野への投資額が増え、一般家庭のエンターテイメントに対する支出の割合も今後増加すると予測されています。
このような背景もあり、今、サウジアラビアでも日本のアニメやマンガに注目が集まっています。
今回、サウジアラビアで初めて開催された「サウジアニメエキスポ」は、日本を代表するアニメコンテンツやアニソンシンガーなどが一堂に集結し、各エリアに分かれて、グッズ販売・映像紹介・ライブ上映などにより、日本の様々なコンテンツを紹介するイベントです。
これまでイスラム教の厳密な解釈により娯楽が規制されてきたサウジアラビアですが、「サウジアニメエキスポ」では3日間で約37,800人の方が訪れ大盛況となりました!会場では、日本のマンガのコスプレを楽しむ人々や、深夜のライブに熱狂して踊っている若者の目がとにかくキラキラと輝いており、新たな文化の幕開けをGANMA!のメンバーもガンガン感じてきました!
GANMA!編集部はイベント実行委員会と共同で「サウジアニメエキスポ」の公式キャラクターを公募し選考に協力しました。キャラクターを応募してくれたクリエイターの中から、絵のスキルの高い約50名を選抜し、日本の学校の教室に見立てた会場で、アマチュアマンガ家向けの1日マンガ制作講座を行いました。
GANMA!編集部は、日本の専門学校でマンガコースを開設し、生徒たちにスキル向上指導を行っていますが、今回は初の海外遠征です!
サウジアラビア向けマンガ制作講座、開校!
今回の講座は「作画」「ネーム」「演出」「物語」の4パートに分けて講習を行いました。例えば、マンガの吹き出しの演出について。
マンガに慣れ親しんだ日本人の多くの方は、説明されなくても、吹き出しの形や色で何を意味しているのかわかるのではないでしょうか?
吹き出しで記号化すると、色々詳しく説明せずにより多くの情報量を原稿に詰め込むことができます。このように日本が独自に培ってきたマンガの技術を講座ではお伝えしてきました。
サウジアラビアには日本のようにマンガの技術を教える学校はありません。このような講義が新鮮だったのか、4時間という長丁場の講座でしたがみなさんかなり集中して受講してくださり、たくさんの質問が飛び交いました。
ちなみに、サウジアラビアでは3歳頃になると子供に専用のiPadをプレゼントすることが多いいらしく、ほとんどの受講者はiPadで作画を行っていました。デジタル作画率は非常に高そうです。
日本人初⁉GANMA!作家によるライブペインティング
講座に加えて今回は、GANMA!で『猫娘症候群(かとるすしんどろーむ)』を連載中のネコ太郎先生にライブペインティングを行っていただきました!
約40分間で、イスラムの衣装を着た主人公キャラクターのユキちゃんのイラストを完成させるパフォーマンスです。
ネコ太郎先生からのアラビア語の挨拶で会場は大盛り上がり!サウジアラビアの皆さんもネコが大好きなようで、先生が描いたイラストには、「カワイイ~!」という日本語が飛び交っていました。
また、ライブペインティング中には質問を募集して、先生に答えていただきました。もっとも多かった質問は「何歳から絵を描いているの?」というもので、先生が「3歳ころから描いてます」と答えると、場内からは驚きのリアクションが。
ライブペインティングを観覧いただいた皆さんには「猫娘症候群 サウジアラビアVer」のポストカードもプレゼントしました。
主人公のユキちゃんがキングダムセンター・タワーの前で、サウジアラビアの伝統的な料理である炊き込みご飯の「カブサ」を頬張っているイラストです。
イラストを披露したときに場内からクスクスと笑いが起きていたのですが、どうやら「カブサ」を題材にしたのが面白かったようです。「カブサ」はサウジアラビアではお祝い事に欠かせない料理だということなのですが、日本でイメージしてみると表参道のおしゃれなカフェのテラス席で「お赤飯」を食べてる感じ(笑)?のようです。これは現地に行かないとわからない感覚でした。
2日間、全4回のライブペインティングイベントは常に満席で、計5~600名に方にお越しいただきました!
今回のイベントへの出展は、日本のデジタル作画技術やマンガ文化をご紹介する素晴らしい機会になったと思います。
GANMA!ではこれまで日本国内でマンガ家の育成・支援として専門学校でのマンガコース設置や支援プログラム「RouteM」を運営してきましたが、今後も海外でマンガ市場の拡大やマンガ文化の醸成に貢献していきたいと思います。